診療報酬ファクタリング10選!仕組みや手数料も徹底解説

診療報酬ファクタリング10選!仕組みや手数料も徹底解説

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「赤字決算が続いている」「診療報酬の入金を待つ間に資金ショートしそうだ」

このような資金繰りの悩みを抱えている医療機関は少なくありません。

診療報酬は、診療を行った月の翌々月にならなければ入金されない仕組みです。そのため、約2ヶ月間は資金が手元に入らず、その間に設備投資や人件費の支払いが重なると資金繰りが厳しくなります。

そこで役立つのが診療報酬ファクタリングです。診療報酬債権を早期に現金化でき、手数料は0.25〜2%と一般的なファクタリング(2〜20%)と比べて低く設定されています。

本記事では、診療報酬ファクタリングを提供する主要10社の手数料や入金スピード、対応範囲を徹底比較します。各社の特徴と選び方のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

診療報酬ファクタリングおすすめ10選

診療報酬ファクタリングおすすめ10選

まずは、診療報酬ファクタリングを提供する主要10社を手数料や入金スピード、対応範囲、各社の特徴とともに詳しく比較します。それぞれの強みを理解して、自院に最適なサービスを見つけましょう。

会社名手数料入金スピード診療報酬対応おすすめ度
えんナビ5%〜最短2時間診療・介護
PMG2%〜最短2時間診療・調剤・介護
アクセルファクター0.5%〜8%最短2時間医療・介護・福祉
JBL(レセプトくん)2%〜最短2時間診療・介護・調剤
ベストファクター2%〜20%最短1時間診療報酬
ビートレーディング2%〜最短2時間診療・介護
メドレー早期資金サポート0.3%〜最短3日診療・介護
アクリーティブ0.25%〜最短2週間診療・調剤・介護
カイポケ0.8%一律最短5営業日診療・介護
日本中小企業金融サポート機構1.5%〜最短3時間診療・介護

えんナビ

えんナビ

【公式】えんナビ

手数料5%〜
入金スピード最短2時間
対応範囲診療報酬・介護報酬
営業時間24時間365日(電話対応含む)

えんナビは、真夜中の急な資金需要にも対応できるファクタリング会社です。株式会社インターテックが運営しており、業界でも珍しい24時間365日の電話オペレーター対応を実現しています。

診療報酬・介護報酬の両方に対応し、夜間や休日でも審査から契約まで完結できます。50万円以上の債権から利用でき、Webフォームだけでなく電話での申込にも対応しています。

手数料をできるだけ抑えたい方、夜間や休日に緊急で資金が必要な方、まとまった金額の債権をお持ちの医療機関におすすめです。

PMG

PMG

【公式】PMG

手数料2%〜
入金スピード最短2時間
対応範囲診療報酬・調剤報酬・介護報酬
営業時間電話8:30〜18:00(土日祝休み)

調剤薬局を経営する経営者にとって、もっとも頼れるファクタリング会社です。診療報酬だけでなく、調剤報酬や介護報酬にも対応しており、医療・介護業界全体を幅広くサポートしています。

手数料は2%からと良心的。最短2時間というスピーディな入金が可能です。必要書類を提出してから最短1.5時間ほどで審査が完了するため、急な資金ニーズにも素早く対応できます。

診療・調剤・介護のすべてをカバーし、できるだけ低い手数料で利用したい医療機関に最適です。

アクセルファクター

アクセルファクター

【公式】アクセルファクター

手数料0.5%〜8%
入金スピード最短2時間
対応範囲医療・介護・福祉関連報酬
営業時間平日10:00〜18:30

株式会社アクセルファクターが運営するファクタリングサービスは、医療・介護・福祉関連のあらゆる報酬債権に対応。診療報酬、介護報酬、調剤報酬、障害福祉サービス報酬まで幅広く取り扱っています

手数料は0.5%〜(上限は契約形態により10%〜12%程度)とされており、事前にコストを把握しやすいのがポイント。即日入金を希望する場合は、営業時間終了の3時間前(16時)までに申し込みを済ませましょう。

医療・福祉分野に精通した担当者が個別に対応してくれるため、業界特有の事情や資金繰りに応じてくれるファクタリング会社です。

JBL

JBL

【公式】JBL

手数料2%〜(業界最安水準)
入金スピード最短2時間
対応範囲診療報酬・介護報酬・調剤報酬
営業時間24時間365日(AI審査)

株式会社JBLが運営する「レセプトくん」は、パソコン1台で来店不要・完全オンライン完結の資金調達を実現するファクタリングサービスです。

診療報酬・介護報酬・調剤報酬のすべてに対応し、手数料は2%〜と業界でも最安水準です。すべての手続きをWeb上で完結できるため、書類の郵送や対面手続きの手間もかかりません。オンライン完結・クラウドサイン等の仕組みにより、手続きの効率化とコスト抑制に配慮したサービス設計となっています

オンラインで手続きを完結させたい方、来店不要でスムーズに契約したい方、医療・介護分野に特化したサービスを探している経営者におすすめします。

ベストファクター

ベストファクター

【公式】ベストファクター

手数料2%〜20%
入金スピード最短1時間
対応範囲診療報酬
営業時間平日10:00〜19:00

株式会社アレシアが運営する「ベストファクター」は、業界トップクラスのスピード対応を誇るファクタリング会社です。最短1時間での入金が可能で、即日振込率は60%以上、審査通過率は92.25%と優れた実績を誇ります。

同社は診療報酬ファクタリングの買取実績が豊富。電話・Web・出張訪問のいずれの方法でも申し込みができ、本人確認後の手続きがスムーズに進む点も魅力です。

最短1時間の入金対応で、急な資金ニーズにも安心して利用できます。まずは公式サイトから新規申込みをしましょう。

ビートレーディング

ビートレーディング

【公式】ビートレーディング

手数料2%〜(3社間)
入金スピード最短2時間
対応範囲診療報酬・介護報酬
営業時間24時間365日
実績累計取引額1,550億円、取引実績7.1万社以上※2025年3月時点

累計取引額1,550億円、取引実績7.1万社以上を誇る、業界最大手のファクタリング会社です。10年以上にわたる運営実績で培ったノウハウをもとに、信頼性と柔軟性の高いサービスを提供しています。

診療報酬・介護報酬ファクタリングの両方に対応し、手数料は2%〜と良心的。完全24時間365日対応で、WebやLINEから簡単に申し込みができ、最短2時間での入金も可能です。

業界大手ならではの安心感を重視する方や、豊富な実績を持つ信頼性の高い会社を利用したい方におすすめ。また、診療報酬と介護報酬の両方に対応してほしい医療機関にも最適です。

メドレー早期資金サポート

【公式】メドレー早期資金サポート

手数料0.3%〜(グループサービス利用時)
入金スピード最短3日
対応範囲診療報酬・介護報酬・調剤報酬・障害福祉サービス報酬
営業時間平日9:00〜18:00

東証プライム市場上場の株式会社メドレーのグループ企業、株式会社メドレーフィナンシャルサービスが提供するファクタリングサービスです。上場企業グループならではの厳格なコンプライアンス体制と、質の高いサービスが支持されています。

診療報酬・介護報酬・調剤報酬・障害福祉サービス報酬のすべてに対応し、手数料は0.3%〜と業界でも屈指の低水準。これは、メドレーグループのサービス(「CLINICS」などのクラウド診療支援システム)を利用している事業所向けの優遇料金です。

手続きはすべてオンラインで完結し、最短3日での入金が可能。上場企業グループの安心感を優先したいなら、一度見積もりを取ってみましょう。

アクリーティブ

【公式】アクリーティブ

手数料0.25%〜(業界最低水準)
入金スピード最短2週間
対応範囲診療報酬・調剤報酬・介護報酬
営業時間平日9:00〜17:30
調達可能額最大3ヶ月分

アクリーティブ株式会社が運営するファクタリングサービスです。手数料は月0.25%〜と業界でも最も低い水準を実現しており、年率換算では約3.0%〜で資金調達が可能です。

診療報酬・調剤報酬・介護報酬のいずれにも対応し、最大で3ヶ月分の報酬を調達可能。まとまった資金を確保したい場合にも便利です。入金スピードは最短2週間と穏やかですが、その分手数料を極限まで抑えられる点が大きな魅力です。

コストを最小限に抑えたい医療機関や、赤字決算・債務超過の状況でも利用を検討したい方、まとまった金額を安心して調達したいときに重宝するでしょう。

カイポケ

【公式】カイポケ

手数料0.8%一律
入金スピード最短5営業日
対応範囲診療報酬・介護報酬
営業時間平日9:00〜18:00

「カイポケ」は、株式会社エス・エム・エスフィナンシャルサービスが運営する、明瞭な料金設定が特徴のファクタリングサービスです。「手数料がどのくらいかかるか分からない」という不安を解消するため、手数料を一律0.8%に設定しています。

診療報酬・介護報酬ファクタリングの両方に対応しており、最短5営業日での入金を実現。手数料は請求額のうち早期入金分(80%部分)にのみ発生し、残りの20%は国保連や社保から通常通り振り込まれる仕組みです。そのため、実質的な手数料負担を抑えながら資金を確保できます。

日本中小企業金融サポート機構

日本中小企業金融サポート機構

【公式】日本中小企業金融サポート機構

手数料1.5%〜
入金スピード最短30分審査、最短3時間入金
対応範囲診療報酬・介護報酬
営業時間平日9:30〜18:00
組織形態一般社団法人(非営利)

営利目的ではなく中小企業支援を使命とする非営利法人です。一般社団法人として運営されており、経営革新等支援機関の認定も受けています。

診療報酬・介護報酬ファクタリングの両方に対応しており、手数料は1.5%〜と良心的な設定です。審査時間は最短30分、入金までは最短3時間と非常にスピーディーな対応を実現しています。

一般社団法人ならではの公正な審査体制と、営利企業にはない柔軟な姿勢が何よりも魅力。信頼性を重視する医療機関や、非営利組織による安心感のあるサービスを利用したい事業者におすすめです。

診療報酬ファクタリングとは?基本的な仕組みを解説

診療報酬ファクタリングとは?基本的な仕組みを解説

診療報酬ファクタリングとは、医療機関が保険診療により発生した「診療報酬債権」を、ファクタリング会社に売却して早期に資金化する方法です。

あらためて、基本的な仕組みを見ていきましょう。

診療報酬ファクタリングとは医療機関向け資金調達の定義

診療報酬ファクタリングとは、医療機関が医療保険から受け取る権利(診療報酬債権)をファクタリング会社に譲渡し、その債権額の一部を早期に現金化する資金調達の仕組みです。

この取引は、民法第466条(債権譲渡の自由)に基づいた合法的な債権売買として行われます。金融庁もファクタリングを「法的に債権譲渡として扱う取引」と定義しており、銀行融資とは異なる資金調達手段として認められています。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。

金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」

銀行融資のように「借入」ではなく、「債権売却」によって資金を得る点が大きな違いです。そのため、負債として計上されず、返済義務も発生しません。

診療報酬債権を売却して早期資金化する仕組み

診療報酬ファクタリングの基本的な流れは以下の通りです。

  1. 医療機関が診療を行い、診療月の翌月10日までに国保連または社保へ診療報酬を請求する
  2. 医療機関がファクタリング会社と債権譲渡契約を締結し、診療報酬債権を売却する
  3. 医療機関とファクタリング会社の連名で、債権譲渡通知書を国保連・社保へ送付する
  4. 国保連・社保が通知を受け、診療報酬の支払先をファクタリング会社に変更する
  5. ファクタリング会社が債権額の80〜90%(掛け目)から手数料を差し引いた金額を、前払金として医療機関に振り込む
  6. 国保連・社保がレセプト審査を行い、診療報酬が確定
  7. ファクタリング会社が最終的な差額精算(残金の入金)を実施し、取引が完了する

ファクタリングを行えば、入金まで数ヶ月かかる診療報酬を早期に現金化できます。資金繰りを安定させたい医療機関にとって、有効な資金調達手段といえるでしょう。

一般的なファクタリングと診療報酬ファクタリングの違い

項目診療報酬ファクタリング一般的なファクタリング
売掛先国保・社保(公的機関)民間企業
手数料相場0.25%〜2%2%〜20%
審査難易度低い中〜高
入金の確実性高い取引先の信用による
対象業種医療機関限定全業種

診療報酬ファクタリングの特徴は、売掛先が国保連や社保といった公的機関であることにあります。支払い元の信用力が極めて高いため、入金の確実性が高く、ファクタリング会社にとってもリスクの少ない取引が可能です。

こうした高い信用性がコスト面にも反映されており、手数料は一般的なファクタリングと比べて大幅に低く、0.25%〜2%程度が一般的な水準です。

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いは?徹底解説 2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いは?徹底解説

診療報酬ファクタリングの利用の流れ

診療報酬ファクタリングの利用の流れ

診療報酬ファクタリングを実際に利用する際は、手続きの流れを事前に把握しておくことが大切です。

診療報酬ファクタリングの申込みから契約までの流れ

申込から契約までのステップは以下の通りです。

  1. 医療機関がファクタリング会社に、電話またはWebフォームから問い合わせを行う
  2. 案内に従って、必要書類を提出する
  3. ファクタリング会社が書類を確認し、初期審査を実施。通常1〜2営業日で審査結果が通知される
  4. 審査を通過すると、ファクタリング会社から医療機関へ具体的な条件(手数料や掛け目など)の提示が行われる
  5. 医療機関が条件内容を確認・承認した後、双方の合意に基づき契約を締結する

各ステップで求められる書類や対応内容は、ファクタリング会社ごとに異なります。多くの場合、初回の相談段階で丁寧に案内してもらえるため、初めて利用する場合も安心です。

債権譲渡通知と入金のタイミング

契約を締結した後、医療機関とファクタリング会社の連名で、国民健康保険団体連合会(国保連)または社会保険診療報酬支払基金(社保)に債権譲渡通知書を提出します。

この手続きは、民法第467条第1項で定められた「債権譲渡の対抗要件」に基づくものです。

「債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、または債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗できない

e-Gov法令検索

通知を受けた国保連・社保は、診療報酬の支払先を医療機関からファクタリング会社へ変更します。

この変更手続きが完了すると、ファクタリング会社が1回目の入金(前払金)を実行します。目安として、契約締結からおよそ1週間程度で資金が振り込まれるケースが一般的です。

必要書類と審査期間

(1) 申込み電話・Web申込、書類提出即日〜1日
(2) 審査診療報酬債権の確認1〜3日
(3) 契約債権譲渡契約の締結1日
(4) 債権譲渡通知国保・社保への通知1日
(5) 入金(1回目)買取代金の80%〜90%入金契約後2〜5日
(6) 入金(2回目)残金精算国保・社保入金後

診療報酬ファクタリングの審査期間は、最短で2〜3営業日、一般的には5〜10営業日程度が目安です。

特に初回の申込みでは書類確認に時間を要することが多いため、余裕を持って10営業日ほどを見込んでおくと安心でしょう。

診療報酬ファクタリングのメリット

診療報酬ファクタリングのメリット

診療報酬ファクタリングには、銀行融資とは異なる特徴や利点が多くあります。入金サイクルの短縮や資金繰りの改善など、医療機関の運営を支える7つメリットをご紹介します。

最短2日で資金調達できる

診療報酬ファクタリングの大きな魅力は、資金化までのスピードです。申込みから最短翌日、一般的には3〜7日ほどで入金が完了します。なかには、最短1〜2時間で資金を受け取れるファクタリング会社もあります。

審査が通りやすく開業直後でも利用可能

診療報酬ファクタリングの審査通過率は90%以上と非常に高く、一般的な事業用ファクタリング(約70%)を上回ります。これは、売掛金の支払元である国保連や社保の信用力が極めて高いためです。開業まもない医療機関でも利用できる点が、銀行融資との明確な違いです。

手数料が安い

手数料はおおむね0.25%〜2%程度と、公的機関を相手にする取引ならではの低水準です。一般的なファクタリングの手数料(2%〜20%)と比較しても大きな差があり、コストを抑えて資金を確保できます。

借入ではないため負債が増えない

ファクタリングは「債権の売買契約」であり、銀行融資のような「借入」ではありません。そのため、会計上は負債に計上されず、自己資本比率や流動比率などの財務指標を改善できる可能性があります。いわゆるオフバランス効果が期待できる点も魅力です。

担保・保証人が不要

診療報酬債権そのものが信用力の高い担保として機能するため、不動産担保や経営者の連帯保証を求められることはほとんどありません。手続きがシンプルで、心理的な負担も少ない資金調達方法といえます。

赤字決算や債務超過でも利用できる

審査の基準は医療機関の財務状況ではなく、売掛先である国保連・社保の信用力です。赤字決算や債務超過の医療機関でも利用できる可能性が高く、経営状況に左右されにくい利点があります。

診療報酬の最大3ヶ月分まで調達可能

診療報酬ファクタリングの中には、将来発生する3ヶ月分の診療報酬を対象に資金を調達できるサービスもあります。たとえば、月間の診療報酬が1,000万円の場合、最大で3,000万円分の将来債権をファクタリング契約に含めることが可能です。まとまった資金を一度に確保できるため、設備投資や運転資金の確保に役立つでしょう。

診療報酬ファクタリングのデメリットと注意点

診療報酬ファクタリングのデメリットと注意点

資金繰りの改善やスピーディーな調達に役立つ反面、注意すべき点があります。ここでは、利用前に知っておきたい診療報酬ファクタリングのデメリットを整理します。

手数料が発生し受取額が減少する

もっとも影響の大きいデメリットは、手数料の発生によって診療報酬の満額を受け取れなくなる点です。たとえば、診療報酬債権が1,000万円で掛け目が80%、手数料率が1%の場合、8万円の手数料が差し引かれます。実際に受け取れる金額は、792万円程度となるでしょう。

長期利用で資金繰りが悪化するリスク

ファクタリングは一時的な資金繰り改善には有効ですが、長期間の利用には注意が必要です。手数料の支払いが恒常化すると、収益が徐々に目減りし、キャッシュフローが圧迫される恐れがあります。

また、抜本的な経営改善を行わないまま利用を続けると、ファクタリングへの依存状態に陥るリスクもあります。

3社間ファクタリングのため時間がかかる

診療報酬ファクタリングは、医療機関・ファクタリング会社・支払機関(国保連・社保)の3者間で契約を結ぶ「3社間方式」が一般的です。

この方式では、支払機関への債権譲渡通知や承諾手続きが必要となります。2社間ファクタリング(最短即日で資金化できるケースあり)と比べて、数日〜1週間程度時間がかかります。

診療報酬ファクタリングの手数料を徹底比較

診療報酬ファクタリングの手数料を徹底比較

ここでは、主要なファクタリング会社の手数料水準を比較し、その違いや選び方のポイントを解説します。

手数料の相場と計算方法

診療報酬ファクタリングの手数料は、月0.25%〜2%前後が一般的な相場です。

手数料は、ファクタリング会社が実際に買い取る金額(=掛け目を適用した買取額)に対して課されます。掛け目とは、診療報酬債権のうちファクタリング会社が買い取る割合のことで、通常80〜90%前後に設定されます。

そして手数料率は、利用回数や契約形態(2社間・3社間)、取引実績によって変動します。初回利用ではやや高めに設定されるケースもありますが、継続的に利用することで優遇される場合もあります。

手数料の比較表

手数料帯該当する主な会社特徴
0.25%〜0.5%アクリーティブ、メドレー(グループ利用時)
えんナビ、アクセルファクター
業界最低水準
継続利用・大口取引で適用される可能性が高い
0.8%〜1.5%カイポケ、日本中小企業金融サポート機構中堅水準
一律料金または非営利組織の設定
2%〜PMG、JBL、ビートレーディング標準的な水準
初回利用や小口取引で適用されやすい
2%〜20%ベストファクター幅広い料金設定
審査内容により変動幅が大きい

手数料は、取引規模や利用頻度、契約形態によって異なります。初回利用時や少額取引ではやや高めに設定される傾向がある一方、継続的な利用や大口の取引では優遇されるケースも多いです。

また、非営利団体や上場企業グループが運営するサービスは透明性が高く、手数料設定も明確な点が特徴です。安心して取引できるかどうかも、会社選びの判断材料といえるでしょう。

手数料を左右する3つの要素

診療報酬ファクタリングの手数料は、主に3つの要素によって変動します。

  1. 利用額の大きさ
    利用額が大きいほど、手数料率は低くなる傾向があります。たとえば、月間診療報酬が300万円の場合は手数料1.0%、1,000万円なら0.5%、5,000万円では0.3%といった形で、規模が大きいほど優遇されます。
  2. 初回利用か継続利用か
    初回利用時は審査にコストやリスクがかかるため、手数料がやや高めに設定されます。一方、継続的な取引実績がある医療機関では信頼度が高まり、初回1.0% → 継続0.5%といった段階的な引き下げが適用される場合があります。
  3. 医療機関の形態
    個人クリニックか医療法人かによって、手数料率に大きな差はほとんどありません。これは、診療報酬ファクタリングの審査基準が医療機関の財務状況ではなく、売掛先である国保連・社保の信用力に基づいているためです。

実際の手数料シミュレーション

医療機関の規模月間診療報酬掛け目手数料率買取額手数料実際の受取額
小規模クリニック300万円80%1.0%240万円2.4万円237.6万円
中規模クリニック1,000万円85%0.5%850万円4.25万円845.75万円
大規模病院5,000万円90%0.3%4,500万円13.5万円4,486.5万円

シミュレーションからもわかるように、医療機関の規模が大きくなるほど掛け目が高くなり、手数料率は低下する傾向があります。つまり、同じ診療報酬債権でも取引額が増えるほど、実質的なコスト負担が軽くなります。

自院の規模や資金ニーズに応じて、どの水準の手数料が妥当かを把握しておきましょう。それが費用対効果の高い取引につながります。

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診療報酬担保ローンとの違いを比較

診療報酬担保ローンとの違いを比較

診療報酬を活用した資金調達には、ファクタリングのほかに「診療報酬担保ローン」という手段もあります。
どちらも診療報酬を基に資金を確保する仕組みですが、ファクタリングは債権を売却する取引、担保ローンは債権を担保に融資を受ける取引という点で大きく異なります。

診療報酬担保ローンとは?

診療報酬担保ローンとは、医療機関が保有する診療報酬債権を担保に、金融機関から融資を受ける資金調達方法です。主に医療・介護分野に特化した金融会社やノンバンクのほか、一部の銀行・信用金庫でも取り扱いがあります。

金利は取扱機関や審査内容によって幅があり、低い場合は年1〜3%程度に設定されることもあります。ただし、ノンバンク系では年8〜14%前後となるケースも多く、実際の負担額は条件によって大きく変わります。

ファクタリングとローンの5つの違い

項目診療報酬ファクタリング診療報酬担保ローン
性質債権の売買借入(融資)
負債計上なしあり
審査基準債権の有無経営状況・返済能力
手数料/金利月0.25%〜2%年1%〜14%
調達可能額診療報酬の80%〜95%程度診療報酬の3〜4ヶ月分
所要期間最短2時間〜2週間2週間〜1ヶ月

両者の大きな違いは、法的な性質にあります。

ファクタリングは、診療報酬債権という「資産(債権)」をファクタリング会社に売却する取引であり、融資ではありません。一方で、診療報酬担保ローンは、同じ債権を担保にして資金を借りる金銭消費貸借契約であるため、会計上は負債として計上されます。

それぞれに利点と注意点があるため、自院の資金計画や財務方針に合った方法を選びましょう。

診療報酬ファクタリング会社の選び方4つのポイント

診療報酬ファクタリング会社の選び方4つのポイント

診療報酬ファクタリング会社は多数存在し、それぞれ特徴が異なります。自院に最適なサービスを選ぶために、以下のポイントを確認しましょう。

手数料の安さで選ぶ

手数料は、診療報酬ファクタリングのコストを左右する要素です。相場は月0.25%〜2%程度ですが、会社によって大きく異なります。

比較の際は下限だけでなく、上限手数料も必ず確認しましょう。「手数料0.5%〜」とあっても、実際には条件によって5〜10%まで上がるケースがあります。

また、契約手数料・事務手数料・登記費用・振込手数料など、付随費用が発生することもあるため、総額でのコストを把握することが大切です。

入金スピードで選ぶ

急な資金ニーズがある場合、入金スピードを重視したいところです。実際、診療報酬ファクタリングにおける入金スピードは、最短1時間〜最長2週間までと大きな幅があります。

スピードを重視するなら、午前中に申込みを行う、必要書類を事前に揃える、オンライン完結型のサービスを利用するなどの工夫が効果的です。ただし、対応が早い会社ほど手数料がやや高めになる傾向があるため、コストとのバランスを考慮して選びましょう。

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対応する診療報酬の種類で選ぶ

ファクタリング会社によって、対応できる報酬の範囲が異なります。診療報酬だけでなく、介護報酬・調剤報酬までカバーしているかを確認しましょう。

たとえば、クリニックと訪問介護事業所を併設している場合、複数の報酬債権を一括で買い取れる会社を選ぶと手続きがスムーズです。

契約の柔軟性で選ぶ

契約条件の柔軟さも大切な比較ポイントです。以下をチェックしておきましょう。

  • 契約期間や自動更新の有無
  • 掛け目(買取率)や手数料率の交渉可否
  • オンライン完結の可否
  • 2社間・3社間ファクタリングの選択肢

短期間のみ利用したい場合は契約期間の縛りがない会社を、コストを抑えたい場合は3社間ファクタリング対応の会社を選ぶのがおすすめです。

診療報酬ファクタリングの活用事例

実際ここでは、実際に診療報酬ファクタリングを活用した医療機関の事例をご紹介します。医療機関がどのような形でファクタリングを利用し、課題を解決したのかを見ていきましょう。

事例(1)歯科クリニックO:設備投資資金を1週間で調達(利用企業:ベストファクター)

神奈川県の歯科クリニックOは、インプラント治療の精度を高めるため、ノーベルバイオケア社製の3Dナビゲーションシステム「X-Guide(エックスガイド)」(導入費用約400万円)の導入を決定しました。

ただし、診療報酬の入金を待つ余裕がなく、早急に資金を確保する必要がありました。

そこで、ベストファクターの診療報酬ファクタリング(2社間取引)を利用し、診療報酬債権400万円分を売却。掛け目90%、手数料1%台の条件で契約を締結し、申込みから1週間以内に360万円を資金化しました。

借入による負債を増やすことなく設備投資を実現でき、短期間で最新の治療体制を整備することができました。
その結果、治療の質が向上し、患者満足度の向上にもつながっています。

出典:https://bestfactor.jp/interview/dentist-case/

事例(2)介護事業所B:新規開業の資金繰りを早期支払で解決(利用企業:アクリーティブ)

介護事業所Bは、新規開業に向けて準備を進めていましたが、介護報酬の入金サイクル(サービス提供月の翌々月25日前後)の影響で、開業初月は運転資金や給与の支払いに不安を抱えていました。

そこで、アクリーティブの診療報酬ファクタリング(早期支払サービス)を活用し、介護報酬債権を売却。通常より1ヶ月早い入金を実現しました。

この結果、開業初月の運転資金を余裕をもって確保でき、取引先やスタッフへの支払いも滞りなく実施することに成功。資金面の不安を解消したことで、スムーズかつ安定した事業スタートにつなげることができた事例です。

出典:https://www.accretive.jp/service/case/

診療報酬ファクタリングに関するよくある質問

診療報酬ファクタリングを検討する際、多くの医療機関が抱く疑問にお答えします。

診療報酬ファクタリングは違法ではないですか?

診療報酬ファクタリングは、民法第466条に基づく合法的な債権譲渡取引として法的に認められています。金融庁もファクタリングを「法的に債権譲渡に当たる取引」と定義しており、取引自体は違法ではありません。

ただし、金融庁が公表している「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2025年10月8日更新)では、ファクタリングを装った違法な貸付け(ヤミ金融)への注意が呼びかけられています。

いわゆる「給与ファクタリング」などと称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します

金融庁「給与の買取りをうたった違法なヤミ金融にご注意ください!」

与ファクタリングとは、個人(労働者)が勤務先から受け取る賃金債権を業者が買い取り、金銭を交付する仕組みのことです。ただ、実態としては貸付けに該当する違法行為とされています。

そのため、診療報酬ファクタリングを利用する際には、法令を遵守し、金融庁や業界認定を受けた適正な業者を選ぶことが重要です。

赤字決算でも利用できますか?

赤字決算の医療機関でも利用できるケースが一般的です。

その理由は、審査の対象が医療機関の経営状況ではなく、売掛先である国保連や社保の信用力に基づいているためです。公的機関が支払元となるため、回収リスクが極めて低く、赤字でも問題なく審査に通る場合があります。

税金滞納中でも利用できるファクタリング会社10選 税金滞納でも利用できるファクタリング会社10選!注意点も解説

個人クリニックでも利用できますか?

診診療報酬ファクタリングは医療法人・個人事業主のどちらでも利用可能です。通常の法人のように不動産担保や保証人を求められることはほとんどなく、診療報酬債権だけで資金調達ができる点が大きな利点です。

国保・社保への通知は必要ですか?

ファクタリングの契約形態によって異なります。

  • 3社間ファクタリング(主流):通知が必須で、医療機関とファクタリング会社の連名で国保連・社保に債権譲渡通知書を提出する
  • 2社間ファクタリング:通知不要。ただし、対応している会社は限られる

なお、診療報酬ファクタリングについては、3社間が現在の主流となっています。

どのくらいの金額から利用できますか?

診療報酬ファクタリングの最低利用額は業者によって異なります。目安として、下限がない業者のほか、10万円程度から対応可能な業者、あるいは30万円以上から受付している業者もあります。

一方で、上限額に明確な制限はほとんどありません。利用できる金額は、月々の診療報酬の規模や複数月分の請求額などに基づいて決定されます。

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まとめ:診療報酬ファクタリングで医療機関の資金繰りを改善

診療報酬ファクタリングは、診療報酬の入金を数日〜2週間ほどに短縮できる、医療機関向けの効率的な資金調達方法です。比較的審査通過率が高いため、赤字決算や開業直後でも利用できるケースが多く見られます。

ただし、手数料による受取額の減少や、長期利用による資金繰り悪化リスクなどの注意点もあります。あくまで短期的な資金繰り対策として活用し、経営基盤の改善と併せて検討することが大切です。

本記事を参考に診療報酬ファクタリングを賢く活用し、安心して医療提供に専念できる体制を整えましょう。

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